陸王にも出てくる”鍛える”という概念再考 〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2017.10.29 Sunday
  • 12:26

みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

 

ドラマ「陸王」の2話はどうでしたか?前回も言いましたが、シューズのくだりは「フィクション」としてお楽しみください。

 

でも、ストーリーがかぶってくる「無敵」なんかは「売れてウハウハなんじゃない?」という方もいらっしゃるかもしれません。でも、むしろミニマルなシューズを主力にしている「ベアフット業界」の方がむしろこのドラマの反応に対して危機感があると思います。それは何故でしょうか?

 

答えを簡単にいうと「ブームが来て、終わってしまった」その歴史を繰り返したくない、ということです。2009〜2014年ごろ物凄い盛り上げを見せた後急速に終息した、あのようなブームはもういらないというのが本音。ブームの後も、必要なランナーが、しっかり理解して活用する、そういった定着感は見せつつあるからです。

 

実際、例えば「無敵」自体は、ただの足袋です。金栗四三が金栗足袋を作ったのは戦前、アシックスの創業はマラソン足袋からスタートしました。まさにクラシックな代物なわけです。

 

またファイブフィンガーズという5本指のシューズ(これもドラマ中チラッと映ったお店に放送終了後問い合わせが目立つようになっているようです、もうとっくに売っていませんよ!)だって、機能的にはアッパーにアウトソールというミッドソールを省略した構造がミソなわけです。ハイテクな要素は何もありません。

 

ですから、これらミニマルなシューズの特徴は何か?というと簡単です。

 

「機能がないこと」

 

それが特徴なのです。もう一度言います、機能を省いたことが特徴です。

 

分かりますか?機能がないので、クッションだったり、前方方向に体を誘導するような形状にもなっていません。ジャンプしてスクワットして繰り返される動作の中で、体をとらえてくれる踵周りの制御された安心感もありません。

 

ですから、逆に、自分の体がすべてを緩衝していく必要がありますので、もしかしたらそのままのフォームで履いても、または、トレーニングシューズのように履いてもがっかりする結果になるだけです。

 

実際、供給する側も、ベアフットは機能がないことで、体が無理のないところで地面からのインパクトをとらえうように、必然的になる、というある種、体の機能に訴えかけるような流れを期待していました。しかし、日本のランナーは、根性的な「鍛える」がそもそも好き、すべてのランナーがそういうニュアンスをとらえきれたと言い難かったです。

 

ドラマ中でも茂木がただやみ雲に走るシーンがあります、あれダメですが、多いじゃないですか?痛くても走りたいってランナー。

 

 

かつてもブームも、このシューズを履く上での「ミソ」が伝わらず、足を痛めたり、感触が悪く履くのを止めたりして、ブームは去りました。ファイブフィンガーズに至っては、アメリカで訴訟になり、メーカーは敗訴しました。

 

では、何故ブームになってしまったのか?それは日本人に根強く残る「鍛える」ということに対する美徳だとわたしは思っています。日本のランナーは、根性的な「鍛える」がそもそも好きですからね。

 

実は、今でもベアフットシューズ愛好している方は根強くいらっしゃいます。ではどういう方がいるかというと2種類のパターンがあったのではないかと感じています。

 

まずは「鍛える」を根性論として捉えた方、痛いのは気のせいだ!と言わんばかりに頑張って履いた方、耐性が強い方です。一方、耐える力がない方(一般人!)は、怪我をして止めていきました。もう一つのグループは真の意味でミニマルを理解したスマートな「鍛える」を選択した方、足をついた時の、この痛いはどうしたら痛くなくなるのか?と考えた方、無理のないところで地面からのインパクトをとらえうよう、ランニング動作を意識した方です。

 

ですから、後者のランナーは、フォームもきれいで合理的、そして距離志向を捨てた、捨てざる得ないライフスタイル(働き盛りのビジネスマンなど)の方が多い傾向にあります。短時間集中型とも言え、これがベアフットシューズ使い方の典型例です。日本のランナーは、根性的な「鍛える」がそもそも好き、「これで30K走れますか?」という質問をかつて良く受けましたが、そもそもそれがミスジャッジ、すべてのランナーがそういうニュアンスをとらえきれたと言い難かったです。

 

要は、ベアフットムーブメントで得た大事な教訓は、

 

「シューズに頼りきるのではなくて、ランニング動作の改善も同時に考えることが大事」

 

ということです。

 

ランニングって所詮「体を上手に使うこと、足が、脚が機能的になっていくこと」だと思ってます。合理的なフォーム、健康な機能的な足になっていく過程こそ、ランナーとしての真価です。タイムが速ければいい、膝が痛けりゃサポーターして走ればいい、それじゃ茂木です。それって、5年でマラソンやりきって辞める的アスリートの発想ですよ、市民ランナーのみなさんはずっと走りたい、長く怪我なく走りたい、それが希望ではないでしょうか?

 

その意味では、ベアフットシューズもうまく使うことです。ベアフットは、動作の確認で短時間集中的に使用、トレーニングシューズはデイリーで体を守ってもらう、レーシングシューズはパフォーマンスを引き出すといった「裸足の機能拡大+機能性のあるシューズでサポート」というコンビネーションで、はじめて快適だったり、成し遂げるタイムがあると思います。

 

ベアフットシューズは、枝分かれして、今では厚みがある「マキシマル」シューズも出てきてトレーニングシューズにバリエーションが増えています。厳格なミニマルリストやミニマル論は下火になり、シューズは色々あった方がいいし、色々あることで動作を考える契機になるという考え方の方が強くってきています。

 

ドラマのセリフの中で、R兇クッションのあるシューズの代名詞的に言われていますが、

こんな厚底のシューズ、ホカオネオネとかだってあります。実際のベアフットムーブメント終息後、非常に人気があるブランドです。

 

 

またレーシングでもこういった厚底を提案して、マラソン前人未到の2時間ギリを試みたシューズ、ナイキベイパーフライなんてものあります。

 

 

 

 

このシューズを履いた東海大の学生が、今年は出雲駅伝を制しました。若いアスリートでも、シューズのその選択肢の多様性を受け入れ始めた、そんな時代に入りました。

 

陸王での描き方は、やはり、シューズのパートは全体的に「フィクション」として見てほしいのですが、茂木がベアフットで動きを見直すシーンは、あそこは実像に即していると言えるます。鍛えるとは盲目的に頑張ることではなくて、合理的、効率的な方向を模索した自分自身を磨くことでしょう。

 

そういう意味で、茂木がそれに気づき、盲目的な「鍛える」を捨てたラストはハイライトだったと言えますね。

 

 

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F・Shokai 【藤原商会】代表

シューズアドバイザー 藤原岳久

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