2020年箱根駅伝シューズ総括 王者ヴェイパーフライに挑んだミズノ 〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2020.01.06 Monday
  • 15:44

 

 

みなさん、こんにちは。藤原商会代表:シューズアドバイザー藤原です。

 

前回のブログで書きましたが、箱根駅伝2020では、ナント10人全員が、ヴェイパーフライネクスト%(以下VFN%)を着用した大学7校、着用者210名中、117名、そのシェアがナント、ナント84.3%と、まさにナイキ一色と言っていい様相でした。しかも、あの青山学院大学までもが、ナイキ一色であったことも付け加えておきましょう。

 

参考までにこちらもどうぞ→2020年箱根駅伝シューズ総括 青山学院大のやっぱり大作戦の正体 〜シューズアドバイザー日記〜

http://fshokai.site/?eid=142

 

 

そんな中、他のブランドはただ指をくわえて見ていただけなのでしょうか?

 

特に、日本ブランドの「アシックス」と「ミズノ」は、まさにナイキという”黒船来航”のこの状況下で、今回、対照的な戦略・結果で明暗が分かれました。

 

ちなみに、今回、VFN%の着用が、1番少なかった大学はどこかと言うと、シェア50%であった早稲田大学です。そして、その早稲田大学のチームウエアは「アシックス」です。だからと言って、アシックスレーシングを選手が着用したかと言えばそうでもなく、わずか2名でした。逆に、このVFN%一色の中で、NB2名、アディダス1名など、着用ブランド数が多く、皮肉にもバラエティーに富んでいたのも早稲田大学でした。

 

さて、そのアシックスは、春頃に発売される予定の「メタレーサー」という未発売モデルを選手数名に履かせる作戦に出てきました。少数精鋭で履かせて、彼らの活躍に賭けるような戦略です。

 

というより実際にテストの意味も少なくないでしょうが、それにしても、こうやって画面にチョコっと露出して、逆にランナーな視聴者の興味を引き出すような手法は、ナイキが、E・キプチョゲ選手など使って、SNSで頻繁に使う得意な手段です。SNSで情報発信ができる世の中、多少リークするぐらいの方が商品ローンチ(発売)までに盛り上がり、購買意欲も増します。

 

 

写真: アシックスメタレーサー 出典:Canadian Running Magazine

 

ともかく、少数精鋭のひとり、早稲田大学2区太田選手は、そのメタレーサーを着用して、そして、区間6位という好成績を出しましたが、もうひとり中央学院大学のアンカー石綿選手は区間18位と、その効果のほどは、なんとも言えない印象になってしまいしました。

 

また、単純比較することは出来ませんが、既製品のソーティーラインを履いた選手が5区で区間6位、8区で区間4位と好成績をあげていることも、それに追い打ちをかけた感はあります。

 

そして、アシックスは、早稲田大学をはじめ他2校のウエアサポートをしてますが、中央学院大で1人、帝京大学でゼロ人の着用と"城"を守れませんでした。中央学院大学は残り9人はすべて、帝京大学でも7人が、VFN%でしたので、シェアは結局ほとんどナイキに流れた形です。結局、アシックスは、2019年は210名中、51人、24.2%のシェアがありましたが、2020年の今年、ついにわずが7人となり、90%弱シェアを激減させることになりました。

 

「メタレーサー」は、VFN%と同じようにカーボンプレートが搭載されたレーシングで、海外選手の露出が目立ち、話題となっているシューズなのですが、今回もっと”数撃ちゃ当たるお願い作戦”ではダメだったのかな、と思ってしまいました。アシックスは、堅実なブランドだし、そのあたりは慎重に行ったのか、ハタマタ”数撃ったの結果”が2名だったのか、知る由もないですが、とにかく、箱根駅伝2020において存在感は薄くなってしまったことは間違いありません。

 

 

やはり、アシックスは、チームウエアのブランドとして、シューズでも選手との密接な関係性を築くことはできたかもしれません。2020年では本線に出場出来ませんでしたが、かつて山梨学院大学のような関係性はモデルケースであったはずです。その意味では、ミズノはそこに力を注いて、今大会を迎えたブランドアシックスとは対照的なブランドであったと言えるでしょう。

 

ミズノはチームウエアのサポートが6校と、その優位性を背景に2区、8区以外の残り8区間で、ミズノのシューズを着用している選手がいる状況を作り出すことに成功しました。特に、創価大学や日本大学、国士舘大、法政大学の4校とのウェアスポンサーの大学との良好な関係をうかがわせます。

 

それらの大学選手で、それぞれ1名〜数名の着用があり、その集合体が8区間なんとか9足だったわけです。しかし、これは、黒船来航のこの逆風下では”大きな9足”、テレビ中継で、各中継所では、毎回のようにミズノの謎の”白いシューズ”が映るわけですから、サスペンスドラマのトリックがごとく、その仕込みは十分成功したと言えます。多くの視聴者にはもっと謎めいて、どこのシューズ?だったかもしれません。

 

写真 藤原撮影

 

つまり、アシックスとミズノは、同じような足数で、見た目としては、”呉越同舟”同じようにお互い黒船にそのシェアを奪われた形でしたが、その中身は大きく違ったと言ってもいいかもしれません。結局、視聴者の印象に残ったのは、結局、”赤いシューズ”ではなくて、あの”白いシューズ”だったはずです。

 

ミズノも簡単に言えば、選手に対しては、アシックス同様、未発売の開発中のカーボンプレートプロトタイプレーシングで釣った形です。それでも、学生も”履いてくれ”、の情だけでは履いてくれない時代。前回書きましたように、210名の中であの青山学院大学すら働いたある種の力学あるわけです。そう言ったナイキという黒船来航下、そりゃ簡単にはいきません。ですから選手にも、やはり、VFN%のようなタイムアップ効果(精神的でも)が期待ができるシューズであること、それが最低条件だったと言えますね。

 

アシックスもミズノもその意味では同じような作戦でしたが、それだけではなくて、ミズノは、今回ところ構わずと言ったら失礼ですが、通常は自前で購入している選手や、快く着用を快諾してくれた選手を中心に、5区を走って前回区間賞の法政大学青木選手のような”目をつけている”選手も含めて、「この選手に?」と言った印象の選手も含めた必死のアプローチが感じられました。まさにホームページにある「本気の反撃」のフレーズはこのことかもしれません。

https://www.mizuno.jp/track_field/waveduel/?pid=cstop_tf

 

その結果の9足だったのです。これが数足ではアシックスと同じような存在感になったことは安易に想像できますが、ミズノにとっての”変わらなきゃ”、は、アシックスのそれよりも大きかったのかもしれません。今回の”白いシューズ”の存在感は、今回の箱根駅伝で明らかに光ったと言えます。

参考ブログ→アシックスの変わらなきゃ、の本気度 〜シューズアドバイザー日記〜

http://fshokai.site/?eid=141

 

しかも、最高の結果として、創価大の10区嶋津選手がそのシューズで区間賞、そして区間新を樹立、そのシューズに対する機能性としての期待感も持たせることに成功しました。これは大きなアドバンテージになりましたね

 

写真:日本テレビ

 

 

基本的には、ニューバランスのフューエルセル5280と色とヒール部のデザイン酷似していて、とても分かりづらい、あの真っ白のシューズは、既製品販売店限定で発売されている「ウェーブデュエル3Dニット」をベースにしたシューズで、こちらにはミズノ得意のプラスティックプレート(スパイクに使う硬質ペバックス)なのですが、ズバリ、カーボンプレート入りのシューズでミッドソールの検証をしているのではないかと思います。

 

 

写真:STEPスポーツブログより

 

まさに、これぞ、VFN%などでナイキに多用された手法で、SNSなどで「ナンダ?」を増やすことは、プロダクトリリースまで、”期待感のバネ”が溜められている状態になります。今回の箱根駅伝ではその意味では成功したと言えますね。

 

とにかく、今までミズノがこんな戦略ととってきたことを見たことがありません。堅実な、石橋を叩いて渡るようなミズノが、こんな”公共の面前”で、プロトタイプを試すなんてなかった取り組みです。しかし、そうは言っても、堅実なミズノではありますので、すでにほぼ完成形に近いづいていると推察します。

 

ちなみに、このタイミングでもう少し詳細をリークしてもいいと思いますが、その辺りは良きにも悪しにも、そこはミズノですね。それは今後に期待したいです。

 

 

とにかく、ミズノは、やはり、今回ナイキには大きく離されたものの、4.3%、9人ではありますが、シェア2位を死守。やや変われないアシックスに対して、今回のミズノの戦略は、サプライズが十分あり、まさに死守したシェア2位と言えますね。

 

ミズノは、存在感を失っていた北米でも、ニット技術などの機能性を背景に、ランニング専門店で好感が持たれていて、徐々に売り上げやシェアを回復傾向であり、アシックスとはやや対照的な状況になっていますが、まあ、シューズアドバイザーとしては、どっちにしても「メタレーサー」、「ミズノプロトタイプ」、双方の商品化が今から楽しみです。

 

〜ジャストフィットのお手伝い〜

藤原商会代表:シューズアドバイザー 藤原岳久

https://www.f-shokai.com

 

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