続・日本人選手よ!トラックで何故ヴェイパーフライを履く〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2019.11.08 Friday
  • 11:08

みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

 

前回のこのブログ( http://fshokai.site/?eid=133 )の閲覧がとても多く、関心の高さが伺えますので、今回はもう少し深掘り、言い足りないことを書いてみようと思います。

 

日本人ってのは本当に群集心理の国で、誰かが履きだすと今度はみんなそれ。(まあ、かくゆうわたしもですよ!)いまや大会に行くと、みんな”ピンクかキミドリ”です。今年の流行語大賞に”ピンクかキミドリ”はありませんか?!

 

 

出典:ナイキホームページより ナイキヴェイパーフライネクスト% ”ピンクとキミドリ”

 

 

<日本にも本格的なナイキ時代到来!黄金時代に突入か?>

かつては、アシックス・ミズノを履いていたランナー(アスリートも)が、2010年、"靴の名工"三村仁司氏がアディダスの専属アドバザーになったことで、一時は、みんなが”タクミ”になりました。アディダスアディゼロタクミセンがブームに。そして、現在は、学生ランナーをはじめ、市民ランナーでもピンクかキミドリの、ナイキヴェイパーフライブームになっているわけです。

 

正直、2017年5月の”ナイキブレイクキング2”後、そのシューズに対する日本人ランナーの反応は鈍かったと思います。しかし、2019年10月先日の今回の”ブレイキング2”イネオス159では、その関心は、とても高くなっていきていると、”ピンク、キミドリ現象”からも言えそうです。先日の九州実業団駅伝ではあの”アシックス”のMHPS 井上大仁選手の足元もついに”キミドリ"になっていました。ライバルとの関係を考えるとアスリートとっては、そのシューズを着用することで、パフォーマンスにアドバンテージがあるものであるならば、これは死活問題ですからね。

 

大学生でも出雲駅伝、全日本駅伝と2大会が終わり、そこでは、とにかくすでにすごいシェアとなっています。ちなみに、2019年正月箱根駅伝で、ナイキのシューズシェアは、40%強でした、2020年では、60〜70%シェア、もしかするともっとかもしれませんね。足元の画面はナイキヴェイパーシリーズで占拠されそうです。

 

これは、金栗四三さんからスタートしたマラソンシューズの流れが、ハリマヤから戦後アシックスへと主導権がうつり、アシックス黄金時代を経て、ついに黒船のナイキ時代に突入した、そう言った構図と思っていいでしょう。これはシューズの開国です、いままでガラパゴスな日本人の薄底一辺倒のシューズ選びが、急激に海外でおきている現象と同様になっていくのは、悪いことではないです。

 

日本人ランナーには、長らく受け入れられてこなかったこの手のクッションのあるレーシング(逆に言えば、トレーニングシューズ軽い)がこのように急速に普及しているのも、ある種の流行的現象とライバルに負けたくないという衝動的なものは大きでしょうが、それだけでなく、やはりそれらにメリットを感じていることは間違いないでしょうからね。

 

前回もヴェイパーフライは、スピードを維持しやすい構造であると書きました。瞬発的なスピードを出す短いレースではなく、ある程度のペースを維持するロングディスタンスではこのシューズはとても有効なシューズであることは間違いないです。わたしレベルのランナーでもうまく使えば、とても効果的なシューズであることは間違いないです。

 

しかも、ネクスト%は3代目にして、ドロップが下がったこともあり、一番走法を選ばないシューズになっているようにも感じます。これでグッとさらに好感を持つアスリートが増えたのかもしれません。

 

今後、既出のホカオネオネ、ニューバランスをはじめ、アディダス、サッカニー、アシックス、ブルックス、ミズノと多くのブランドがカーボンプレートシューズを各メーカーが発売してきますが、カーボンプレートが入ったレーシングだと言って同じような期待をかけるのは禁物です。それに期待するのは勝手ですが、カーボンプレートが入っているから、”ランニングパフォーマンスに何かが起きる”というのはあまりにもロジックにかけます。

 

 

<何故どこでもどの距離もヴェイパーなのか?>

だからなんでしょうね、ナイキヴェイパーの使い方にポリシーがない、感じられない。トラックでもロードでも、もう意味分かんないのはトレランとか・・・ファッションなのか、本気でタイムを期待しているのか、特に市民ランナーは???な方も見られますね。

 

同様にアスリートでも、前回書いたように、新谷選手は世界選手権10000mでヴェイパーフライフライニット(それをスパイクにカスタマイズしたもの)でした、これは世界で戦うアスリートとして、本番用の勝負シューズとしてはいかがなものか、という記事を書きましたが、このようなことが、ジュニアでも起こりつつあるのは危惧すべき問題だと思います。

 

なんと、全日本中学選手権や国体少年B、トラックの3000m決勝というかなり短い距離でのトラック競技で、ヴェイパーフライネクスト%を履いている選手が散見できるのです。それもラバーが引いてあるトラックですからね。また、あのロード専用シューズで、スピードを維持するにはいいと思いますが、スパートみたいにスピードの切り替えが瞬時にできるイメージは、わたしには持てません。逆に、インターハイや少年Aの5000m決勝では、スパイクがダントツ、ヴェイパーフライを履いた決勝に臨む選手は上位には絡んでいません。

 

繰り返しになりますが、トラックのようなラバーの場所で、トレーニングであれば、別に履くこと自体、全然問題ないし、わたしもマラソンペースなどのトレーニングで履いたりしますけど、自分にとってハイペースで押していくレースはどうなのかな?と思ってしまいます。

 

この現象は、指導者の影響が強いのかと思いますね。中学生は親御さんが、”なんとか速くさせたい”という思いから、30000円のシューズを履かせて期待して、高校生は指導者が、将来のためにちゃんと先ずは接地感を高めよ、ということなんでしょう。(であればホッとしますが・・・)ジュニア期は、まずしっかりとした接地感を高めるべきではないかなと感じます。ランニングは結局多くの部分は体が主導権を握っているわけですからね。勝負も大事だけど将来を見据えた指導はあって欲しいですね。

 

そう意味では、シニア期の大学生が、ジュニア期に高めた足の接地感やフォームを使って、ヴェイパーフライのようなスタイルのシューズをロードで武器として履き、パフォーマンスを引き出すのはいいことです。最近何かと話題の、イクイップメントドーピングの議論はとてもナンセンスだと思います。わたしは、使うランナーの技量が試されるシューズだと思うからです。(わたし自身感じています・・・)

 

しかし、その大学生も、インカレ、記録会などでトラックで履いてるランナーが散見するのは残念です。またロードでも、出雲なんかは、10K以下の区間が多い出雲から接地感のある従来のレーシングフラットでもいいのかな?って思いますけどね。

 

とにかく、日本人ランナーは、薄底なら、薄底。厚底マインドになったら、今度は何でもかんでも厚底です。そのあたりは何とくやはりポリシーを感じないか、唯一の道具に対しての意図がないというか、もしくは一部の選手には、試行錯誤を繰り返している感じなのかもしれません。井上選手もそうかもしれませんけどね。

 

 

<本場では皆無、トラック本番でのヴェイパー使用>

本場アメリカではどうでしょう。UCLAのトラック&フィールドの選手権を見ると、例えば5000m決勝では当然男女ともヴェイパーフライを履く選手はゼロです。

 

「いや、うちの選手は脚力がないんで、スパイク履けないんですよ」と言われるかもしれませんが、だからジュニア期はシューズも重要かと思うんです。

 

アメリカの選手は、基本プロアスリートになるまで、色んな路面を走っています。選手によっては、トラック&フィールドのチーム所属ではなく、クロスカントリー所属している場合もあります。つまりクロカン専門の選手がトラックに出場しているわけです。

 

やわからく、不安定、滑る、クロカンの路面では、基本的に、ピンありスパイクシューズか、ピンなしのクロカンシューズを履きます。つまり、このサーフェスで馴染みのある、信頼できる履物が、彼らにとってはスパイクなわけです。ですからトラックで、5000m〜10000mを走るのであれば、感触的にスパイクを履くということ以外頭にないのではないでしょうかね。

 

ロードでも、例えば、ニューヨークシティーマラソン前日の恒例の「アボットダッシュ5K」、これも象徴的でした。女子は元オレゴンプロジェクトのロウバリーが優勝、バウワーマンクラブのE・インフィールドが3位でしたが、このナイキの選手である2人も、この距離ではヴェイパーではなくて、レーシングフラットのストリークLT4、ストリーク7をそれぞれ選んでいました。(ちなみに、メンズは、ヴェイパー→アディオス→フライニット)

 

何も日本人アスリートだけが接地感的意識を薄底に求めていたわけではなくて、用途、距離によってという合理的な選択をして、薄底もまだまだ必要不可欠な存在なわけです。

 

 

<今こそ薄底、レーシングフラットのポジショニング再構築を>

そう考えたときに、メーカーもスタンスとして、どこもかしこも、この言わば「ヴェイパー現象」に必死に追随するだけが戦略ではないのかな、と思ってしまいます。(中国のメーカー、リーニンみたいに丸ごと真似してしまう、というような手もありますが・・・)

所属選手のために、頑張ることも必要ですが、正直、個人的意見ですが、ヴェイパーフライをこのタイミング超えるのは難しいと予想しています。すでに”ブラッシーボ効果”的効果も少なからずあるわけですし、一人勝ちはしょうがない、そう思います。

 

まるでホカオネオネ のマシュマロクッションを真似しようとしてもなかなかあの感じにならない、それを同じで、それぞれのブランドが強みを出すランニングシューズの使用用途はあると思うんですよね。

 

ちなみに、ナイキもハーフマラソン以下使えるヴェイパーを開発中と聞きます。(スパイクもドーハでプロトタイプを履く選手がいました・・・)はっきり言って、日本得意の薄底分野は、まだまだ競争ができるポジションであると思っています。

 

その意味では、ニューバランスフィーエルシェル5280は、独特のポジションを狙った面白いシューズです。ロード用のスパイク、マイル用のシューズ、とうたい文句も斬新です。厚底が全盛の最中に放つ薄底カーボンプレート、薄底vs厚底の軸が全くないことの表れです。使う用途が違うものに対して、対決軸を持っているのは日本人のみ。今こそ使い方改革をしていくときです。アシックスやミズノも接地感の高い、良薄底を作り続けてきたメーカーです。起死回生はグライドライドではない気がしますけどね。

 

ここの需要は実際多くありません。販売数が見込めるシューズではありません。ですがだからこそ攻める価値があるのでないかと思っています。

 

アスリートが履いてくれることで、ブランドのその他のシューズへの好感には確実に繋がるわけです。

「わたしは、5Kまではこのシューズで、インターバルもこれです。ハーフ以上はこれです。トレーニングはこれを履いているんですよ」

みたいなことをはっきりアスリートに発言してもらう。SNSの発信力は絶大です。結局、ナイキも、E・キプチョゲだったり、大迫選手だったり、履きわけのメッセージを彼らを通じて発信してきたわけです。これも現状の”ナイキによる占拠”状態に大きかった。

 

”シューズの選択は選手の自由”という考え方のメーカー担当者さんもいます。それは聞こえがいいですが、シューズの専門家は選手ではなくて、メーカーです。感覚的なことも尊重しつつ、ロジックをもっとメーカーが提供しそれを共有する。選手を育てて、メーカーもさらに成長していく、そういうストーリーがこの専門的なシューズには必要ですよね。その中、NBの5280には、世界選手権金メダリスト、J・シンプソンと作り上げた感覚とロジックの共有がなされたコンセプトは、使う場所、使う用途もはっきりイメージでる新しいスタイルですよね。

 

 

出典:Runningwherehouse ニューバランスフューエルシェル5280

 

ヴェイパーフライに対抗するというレッドオーシャンで戦うのか、アスリートや市民ランナーに言わば潜在的ニーズを伝え、薄底を再構築して戦うのか、そこはレッドオーシャンにするのか、ブルーオーシャンにするのか、は、アスリートとの信頼関係、情報発信次第だと感じています。

 

なんでもかんでも薄底だった日本人ランナーが、今度はなんでもかんでも厚底に落ちいらないように・・・これは取り組み次第でしょうね。

 

 

〜ジャストフィットのお手伝い〜

藤原商会代表:シューズアドバイザー 藤原岳久

https://www.f-shokai.com

 

ランニングショップコンセプトをご利用になりませんか?

〜シューズ選び、その使い方のコツをお伝える「お買いものツアー」

https://www.f-shokai.com/お買いものツアー随時開催中/オススメ-running-shop-de-お買いもの/

11月も開催!

11/16 17:00〜

11/17 14:30〜 18:00〜

11/18 13:00〜 17:00〜

11/20 14:30〜 

11/23 18:00〜

11/24 14:30〜 18:00〜

など2名募集中!!

 

藤原商会 シューズを使いこなすイベントはこちら

https://www.f-shokai.com/イベントスケジュール-1/

 

 

藤原商会オフィスオープン(営業時間)はこちら

”ほぼ毎週水曜、木曜、ときどき土日 ”

https://www.f-shokai.com/藤原商会について/藤原商会店舗オープン時間/

 

コメント
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

Buy Shoes

Buy Shoes

Buy Shoes

selected entries

categories

archives

recent comment

  • 日本人選手よ!トラックで何故ヴェイパーフライを履く・・・〜シューズアドバイザー日記〜
    トム (10/08)
  • LSDは最も重要なトレーニング 〜シューズ アドバイザー藤原の目指せ!48歳2時間半ギリ!〜
    浩司 (01/19)
  • マラソン大会”ブランド枠”はランナーのため 〜シューズアドバイザー日記〜
    shinichiro handa (03/18)
  • 2018年箱根駅伝シューズシェアとそれが意味するもの〜シューズアドバイザー日記〜
    ハマダコウスケ (01/13)
  • ブレイキング2がもたらしその成果 その1 〜シューズアドバイザー日記
    Koidhi Suzuki (05/10)
  • オリンピック惨敗、マラソン日本選手のシューズ習慣〜シューズアドバイザー日記
    まー (09/24)
  • レーシングシューズは人と一緒でなくていい! 〜シューズアドバイザー日記〜
    藤原 (05/25)
  • レーシングシューズは人と一緒でなくていい! 〜シューズアドバイザー日記〜
    8男 (02/24)
  • Nike Zoom Structure19 シューズレビュー 〜シューズアドバイザー日記〜
    松井 徹 (12/08)
  • シューズアドバイザー日記 〜ケガをしない、マラソン上達はそれに尽きる〜
    菅川智恵子 (03/05)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM