E・キプチョゲの2時間切りを支えたシューズ、アルファーフライの正体〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2019.10.16 Wednesday
  • 14:11

みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

 

シカゴマラソンから帰って来ました。さて、シカゴでは真夜中の放送でしたが、日本では見やすい時間帯でした。みなさん、「イネオス159」は見ましたか?

 

そして、やりました!人類至上はじめてとなるフルマラソン、2時間切り!なんとE・キプチョゲ選手が、1時間59分40秒を達成しました!

 

何とも感動的なゴールでした。ゴールに向かう最後のペースメイキングには、ブレイキング2と同じで、やはりB・ラガトがいて、演出としても素晴らしかった。(しかし、ラガトはすごい、44歳であのペースを引っ張るわけですから・・・)

 

写真:INEOS159 Twitterより

 

これは2017年5月に行われた「ナイキブレイキング2」同様に、IAAF(国際陸上競技連盟)公認の記録にはなりませんが、何しろ学者にも可能性の可否に賛否があった、その2時間を現実的に切ってしまったわけで、大げさですが、人類あげての大実験だったと言えます。人類は42.195Kを2時間以内で走れることが分かったわけです。

 

 

「イネオス159とは・・・」

イネオス159とは、10/12 オーストリアウィーンで開催された、人類初のフルマラソンで2時間を切ろうとするイベントです。

 

イネオスグループが出資、あらゆる条件を整えられた直線が4.3キロをループするコースで行われ、ペーサーがキプチョゲの前に5人、後2人で、キプチョゲを挟んで風よけをするフォーメーションは、ブレイキング2のまさにあのスタイル同様でした。

 

日本からも村山選手が!

 

グリーンレーザーが記録車から放たれ、2時間切りのペースをペーサーにはっきり啓示し、最新のラップが1Kごとに表示され、徹底したペース管理ができる運営も"ブレイキング2"のそれでした。

 

ちょっと違ったのは、サブ2に挑戦するのが、キプチョゲ1人であることと、ブレイキング2より、ペーサーがより豪華な顔ぶれであったことでしょう。

 

特にペーサーは、最年長の44歳の世界チャンピョンB・ラガト、最年少の19歳のヤコブ・インゲブリクセンやエチオピアのS・バレカをはじめ、ケニア、エチオピアの選手の有力ランナー、オリンピックチャンピオンM・セントロウィッツ、L・ロモン、P・チェリモなどアメリカ勢、日本からただ一人選ばれた村山紘太選手など、豪華な顔ぶれでした。

 

そして、その41名がチームに分かれ、大記録達成をアシストすべく、代わる代わる1K2分50秒というハイスピードのペースを正確無比に刻んだわけです。

 

「その成功の要因とは・・・」

2時間切りはそうして達成されたのですが、成功要因は何か?それは、3つあったのではないかと思います。

 

まず1つ目は、「ナイキ・ブレイキング2」の経験が大きかったことでしょう。このイベントの再現だけに、ペーサーを含めたスタッフ、関係者に運営に慣れがあったこと(モルテンの自転車での手渡しも含めて)、また、これは周りだけではなく、当の本人のキプチョゲ自身もそうであったと思いますね。精神的なアドバンテージはあったことでしょう。

 

そして、2つ目は、前回と違って、観客にモチベートされるようなイベントになったことです。これも影響があったでしょう。単純にこれだけのすごいペーサーが正確無比にサブ2ペースで引っ張るイベントはファンも盛り上がる豪華なイベントですよ。(近くなら見たい!!)

 

モチベーションの意味でも、観客のいないブレイキング2とは違って、観客が盛大に応援し続けたその後押しは、決して小さなファクターではなかったはずです。

 

そして、最後は、この日のために密かに開発されたシューズ、「アルファーフライ」と呼ばれるそのシューズの影響です。

 

写真:NIKE NEWSより

 

「アルファーフライの正体とは・・・」

当日なんだ?このシューズは?とみなさんもすぐに気づいたことでしょう。ペーサーは全員ピンクのヴェイパーフライネクスト%を履いていたのに、キプチョゲだけが違うシューズを履いていました。

 

このシューズは、ナイキの技術の粋を集めたもののようですが、全貌は明らかになっていません。しかし、米国特許商標庁にこのシューズによく似た図面がオンラインで公開されています。

 

前足部に3枚のカーボンプレートが装備されて、左右2個ずつのクッションパッド(見た目には廃番ケージズームに見えるが・・・)をサンドイッチした超厚底シューズ構造になってます。

 

写真:BelieveInRun より

 

おお、速く走れるシューズでは!というのは早計です。キプチョゲが望んのでいるのは、"ロード用のスパイク”ですからね。

 

ナイキによると、シューズの接地時、3層ある最初の層で力を分散、その力を中央のプレートで吸収、パッドに、そして最終的にはトップのプレートに力を伝達させるという構造とのこと。プレートが力を分散することで、局所的に衝撃がこないような仕組みだそうです。

 

足が路面に接地、瞬時に力が伝達でき、もし仮に、タイムラグがあるエナジーリターンまでの時間が、限りなくゼロに近づいた時には、足の負担は物凄く少なくなることでしょう。というより、そもそもクッションが不要になってします。

 

あくまで想像の域ではありますが、足の筋疲労が少ない状況を作り出すことで、スピードを持続することができれば、長い距離での結果は良くなる。

 

これは、ドクター中松ばりのバネシューズにはできない芸当です。

 

クッションは現状の筋疲労を少なくする解決方法の一つで大きな要因です。ですが、速く走ることと、それは繋がりにくいもの。クッションがありすぎれば、接地感が高まらず、結局、接地感だけでは、単純な接地時の筋疲労を抑えられないからです。

 

それがヴェイパーフライが世に出たことで、両立の道筋は出来たわけです。速く走れる、というより速いペースを持続するシューズ、そんなヴェイパーフライネクスト%の延長線上にあるシューズなのではないでしょうか。

 

まさにスパイクのように接地、グリップ感があり、それでいてロードのためのクッションがある、インパクト時の衝撃とエナジーリターンを両立させクッションの概念を変えたシューズ、それが「アルファーフライ」なのかもしれませんね。

 

 

「やはり、キプチョゲがすごい」

でも、シューズもすごいのですが、それを操るキプチョゲはもっとすごい。「ヴェイパーフライネクスト%」がスーパーカーであれば、「アルファーフライ」はF1です。ドライバーの技量もいる、これは間違いなさそう。アルファーフライは発売されるのか分かりませんが、このシューズを操るのは至難の技です。

 

ですから、シューズもそうですが、成功要因の最後の、最後としてあげるべきは、当たり前だけど、やはりキプチョゲが凄かったことに尽きます。

 

いくらシューズでペースをうまく守り続けるサポートがあったとは言え、ラストまでペース設定を崩さないすごさ、戦略をやり遂げる賢さ。アスリートとして単純にすごい。すごすぎる。何回走っても、前半飛ばしてしまう、わたしみたいな凡人からするとそれだけでも尊敬に値します、本当にレース展開がうまい。

 

 

今回のキプチョゲのシューズには、おそらく賛否があることことでしょう。ただ、否定する人には、では、シューズがあったとしても、他に誰かができるのか?と問いたいですね。結局、この偉業は、オリンピック金メダルを含む、マラソン10戦無敵のE・キプチョゲにしかできない、そう思います。

 

というより、これはキプチョゲとともに作られたキプチョゲのためのシューズです。ナイキはこのシューズをキプチョゲがいなければ、作ってないし、作れなかったと思います。その意味でもすごい。(アスリートファーストなナイキもすごい!きっと開発費はべらぼうでしょう・・・)

 

そして、とにかくこの男は、至上最強のランナーとして与えられたチャンスに、実際にそれに応える。シューズを含めたあらゆるサポートがあったとは言えです。そんなキプチョゲが、単純にすごい、凄すぎる、その一言だと思うんですよね。

 

公認か非公認か、どっちにしても、歴史上すごいレース(ショー)をわたしたちは目の当たりにできたわけです。人類史に残る出来事ですよ。今回はむしろシューズの方が霞んでしまったのかもしれません。

 

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藤原商会代表:シューズアドバイザー 藤原岳久

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