日本人選手よ!トラックで何故ヴェイパーフライを履く・・・〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2019.10.03 Thursday
  • 01:29

みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

 

そう、世界陸上見ていますか?基本的には、毎日ドラマの連続で、感動の嵐ですが、日本陸上界の低調ぶりを目の当たりにさせられる大会でもありますね。もう来年は東京オリンピックなのに・・・

 

確かに、男子はリレーやショートスプリントなど種目によっては、世界で闘える選手が出てきました。しかし、女子はどの種目にも世界との絶望的な差がついている状況です。これから劇的に変わるかというと、強化の目はもう見えていますからね。限界があります。

 

 

そんな状況を象徴する出来事として長距離選手の最近の傾向として気になるのが、あの厚底シューズ、ナイキヴェイパーフライ4%やネクスト%を履いて、トラックレースに出る日本人選手。今回の世界陸上女子10000mで復活してきた新谷選手もそのひとりでした。

 

何故あのシューズをトラックで履くのでしょうか?わたしにはあまり理解ができません。

 

出典:ランニングウエアハウス ナイキズームヴェイパーフライフライニット

 

まあ、シンプルな答えとして、今回10000mで圧倒的なラストスパートで優勝したオランダのハッサン選手。彼女はロードレースであれば、同じくヴェイパーフライを履いているでしょう、でもトラックではスパイクを履いています。今回の上位選手でスパイク以外の選択をしている選手すら見当たりません。

 

これが答えです。つまり、トラックではスパイクの方が速く走れるから、みんなそれを履いているだけです。はっきり言って、トラックであのシューズを選んでいるようなこのマインドや脚力だとしたら、それこそが世界との差だと言ってもいいのかもしれません。

 

まさかですが、これを履けば速く走れるのでは?といったロジックのない発想?だとしたらなおタチが悪い。MGCでの神野選手にも、一か八か薄いので、勝負をかける!的、同じような感覚がプンプンしましたので、、、

 

 

基本的には10000m以下のレースしかないトラックと、ハーフマラソンやマラソンといった長い距離のロードとでは、シューズに求められる機能性は異なります。ロードでは、路面の硬さに対応するクッション性がマストで、トラックでは路面に接地感とグリップ感が求めます。

 

路面環境もそうですが、スピードも基本的に違います。トラックスパイクは、足の回転数を高める機能として、ミニマルなシューズに、路面を点で捉える硬いピンがついていて、『瞬発的なピッチや強いキックでストライドが出るような』構造になっています。

 

ちなみに、そもそもトラックスパイクの方がカーボンのような硬いプレートは相性がいいでしょうね。神野選手が履いていたフューエルセルの5280はロード用スパイクで、カーボンプレート内蔵したシューズ。

 

出典:ランニングウエアハウス ニューバランスフューエルセル5280

 

しかし、こちらは、接地感、キックを高めるカーボンの使い方です。瞬発的な動作をイメージしたシューズです。最初の10Kぐらいまでは間違いなく快適だったと思います。

 

逆にマラソンのような長い距離では、まさにヴェイパーフライのように、全体的に厚底になり、接地感はないものの、クッションとランニング動作を維持する構造は、『スピードを持続すやすい』機能性になっています。

 

つまり、こちらは、ランナーにとっての全力のスピードというより、ミドルかミドルハイ程度のスピード向けの作りになっている言ってもいいわけです。トップ選手だと多くがハーフマラソンやマラソンにあたるわけです。つまり、大迫選手がヴェイパーフライでトラックレースに参加しているときは、トレーニングの一環と考えた方がいいでしょうね。

 

 

そうは言っても、市民ランナーでスパイクの方が速く走れるかというと、そうでもありません。非常に脚力がいるシューズであることは間違いないですから、しっかりトレーニングで使ってくることが必要です。だってまるでベアフット、ミニマルなスタイルですからね。

 

ですから、脚力を考えたとき、レーシングフラット、接地感のある薄底シューズがその役割として優れています。接地感がありピッチを高める道具としてはベターです。

 

わたしは春から秋のトラックメインであれば、おじさんランナーだけど、トラックでスパイクを履ける脚力を目指してますし、スパイクを履いてレースに出ます。逆にロードシーズンであれば、接地感のレーシングフラットを履いています。微妙なニュアンスですが、使い分けていますね。

 

出典:ランニングウエアハウス リーボックフロートライドファーストプロ(藤原愛用のレーシングフラット)

 

出典:ランニングウエアハウス アディダスアディゼロアバンチ(藤原愛用のトラックスパイク)

 

そして、わたしだって、ロードではヴェイパーフライです。ハーフマラソン・マラソンペースでは、スピードを維持しやい構造になっていて、好きなシューズであることは間違いありません。自己ベスト2時間34分27秒も初代ヴェイパーフライ4%で出してますしね。

 

ただ、ジュニアアスリートの場合は勝手が違うと思います。アスリートのマネをしてそういった”飛道具”を安易に使うのではなくて、まず、しっかりスパイクを”履けるように”することも大事だと思いますね。その時期では速く走る指導だけでなく、将来を見据えた『脚力の養成』という考えも必要です。

 

駅伝が日本の長距離をダメにしたのではなくて、MGCを見ても箱根駅伝出身の選手が活躍しています。それよりも、こういったシューズに対する考え方がとても遅れていること、それが残念でなりません。はっきり言ってそこの問題も小さくないように思います。薄底VS 厚底という対局軸がそもそもおかしいですからね。

 

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コメント
新谷さんは、Vaporfly 4% のカスタムスパイクですよね。また、Nike Elite 選手は、zoom x 搭載の厚底スパイクだったと理解しています。
男子10000では、モーエンがVapor next%でした。

一方、中距離系はエアが前面に搭載された次世代スパイクになっていて、ナイキの躍進はまだまだ続くのではと思います。

いずれにしましても、厚底とか、スパイクと言ったキーワードではなく、本質的な走力を高め、ここぞと言う時に何を使うのか考えるべき、と言うことですよね。
  • トム
  • 2019/10/08 10:48 PM
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