カーボンプレートが入っていると速く走れるのか?ロジカルに考える〜シューズアドバイザー日記〜

  • 2019.11.20 Wednesday
  • 10:24

みなさん、こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

 

11/14 デサントからカーボンファイバープレートが入った「ゲンテンエリート」はじめ3モデルが発売されました。このシューズは発表前から履かせてもらっていましたが、すごいシューズ。16000円という税抜き価格で、なんと”カーボンプレート”とアウトソールが”グラフェンラバー”(ノーベル物理学賞受賞素材)と、費用対効果の高いシューズだからです。

 

写真: デザントゲンテンエリート 出典:デサントホームページ

 

「あのヴェイパーフライネクスト%の約半額だし、これなら手が届くし、カーボンプレートが入っていて速く走れるシューズみたいだし買ってみようかな?」

 

ちょっと、待ったー!(ねるとん的)

 

本当にカーボンプレートが入っていると速く走れるのでしょうか?そして、カーボンプレートが入っていれば、みんなヴェイパーフライみたいなんでしょうか?そもそも、カーボンが何をしてくれるのでしょうか?もっとロジカルに考えてみることは必要です。

 

 

カーボンプレート入りのシューズは、ナイキ「ヴェイパーフライ4%」以来トレンドになりつつあります。その後、追いかけるようにホカオネオネが「カーボンロケット」「カーボンX」を発売し、最近では、ニューバランス「フューエルセル5280」そして、ニューバランスはヴェイパーフライ寄りの「フューエルセルレーサー」を春頃発売してきます。

 

 

写真:ナイキヴェイパーフライネクスト%  出典:ナイキホームページ

 

 

 

 

写真:ホカオネオネカーボンX  出典:ホカオネオネホームページ

 

写真:ニューバランスフューエルセル5280  出典:ランニングウエアハウス

 

 

その他のブランドも攻勢をかけて来るでしょう。ブルックス、サッカニー、アシックス、スケチャーズ、アディダスなどで、選手がすでにレースでプロトタイプを履いて、精度を上げる段階に入っています。今後順次発売されていきます。

 

結局、ブランドとしては選手を離したくない一心。ニューバランスなんか完全にプロデュースドバイUSA vs JAPANの構図です。三村氏の薄底ハンゾーとフューエルセル厚底系レーシングの2軸展開になっていきます。三村ハンゾーシューズを履いて着用選手が結果を残せていません。アスリートも含めて、ランナーの興味を今後引いていくのは、後者のフューエルセルシリーズでしょう。

 

ドバイの世界選手権で後半驚異的な追い上げを見せたイギリスのカルム・ホーキンスが履いていたのが”レーサー”です。まあ、知っていた人なら、”シューズの効果?”と考えてしまうのも無理はありませんね。

 

写真:カルム・ホーキンスが操るFSレーサープロトタイプ

 

では、アゲイン、カーボン入りなら速く走れるのか?

 

これはノーと言わざる得ないです。カーボンの特徴を考えたとき、硬く、弾力がある素材ですから、すごい反発感覚を期待するのは分かりますが、それは無理があると思います。もちろん蹴り出しの屈曲時にしならせるよう使うことになるので、後押しされるような反発もあります。しかし、結局、ランナーが、強くカーボンプレートを屈曲させて、跳ね返すような使い方はできないし、していないと思います。そんな使い方したら足底筋膜が一発でアウトです。あの硬いプレートをそんな曲げています?増してやランナーを極端に選ぶシューズになってしまいますよね?

 

写真:藤原カーボン曲げている

 

基本的には、カーボンプレートのこの特性を利用して、接地感を高め、安定感をだそうとしている、これに尽きるのかなあと思います。着地して0.15-0.3秒(150-300ミリセコンド)で蹴り出しまで向かうことを考えると着地が安定することは、自分の”地面を押す”=キックするクオリティーが上がることになります。それは前に進む上での大きなメリットになります。

 

ナイキ「ヴェイパーフライ」のように、厚底フワフワクッションに入れて、安定感で全体を調和するような使い方「硬い+柔らかい」か、ゲンテンエリートのように、薄底のソール全体に入れて接地感を高める使い方「硬い+薄い」のどちらかになるのかと思います。

 

そして、「硬い+柔らかい」「硬い+薄い」のどちらのスタイルでも、極限まで軽くしたシューズ全体にトータルで”機能性としてのバランスを保つ”効果が一番大きいと言えます。あるブランドのラボでもそう言った検証結果が出ていると聞きます。

 

結局、シューズ全体の剛性バランスを保つのにとてもプラスということです。ナイキ「ヴェイパーフライ」はスプーン状のカーボンプレートが、軽量化で全体的にきゃしゃな構造へのプラットフォーム的フォローになり、柔かい素材樹脂素材ペバックスが含有された「ズームX」フォームの特徴であるクッションを活かしていると言ってもいいのかもしれません。(もちろんスプーン状プレートは構造から反発も出ています、これは中々マネできない)

 

さて、デサント「ゲンテンエリート」の使い方は、「硬い+薄い」組み合わせなので、オーソドックスなレーシングフラットです。そもそもゲンテン=原点という名前からも連想できるようにそこを目指したシューズです。「カーボン+薄底」は、「カーボン+厚底」と全く違う用途で使用することを期待したシューズです。

 

では、薄底は、なぜクッションのない薄底なのか?

 

古くは「軽量性」だったと思います。現在はリーボック「フロートライドファーストプロ」のように片足99gのシューズのように、素材で軽量性を出せます。しかし、かつては軽量化するためには、アッパー、ソールどちらにも削減努力が必要でした。ですから、ソールを限界まで削ることは軽量化の一つであったはずです。

 

 

写真: リーボックフロートライドファーストプロ 出典:リーボックホームページ

 

しかし、それだけではなくて、ペースが速く、足の接地が忙しい状態では、”薄い”ことはとても魅力的です。

 

自分がピッチを高めている、もしくは自分がピッチを高めたいと思っているペース・距離では地面に近いソールの方がそれを高めやすい。速く手を叩け、と言われたら、素手で叩くのか、ボクシンググローブを付けて叩くのか?その答えは明らかです。ゲンテンエリートは、そこにカーボンプレートが配置されていることで、前出のように瞬時に接地安定させ、そのクオリティーを上げてくれるわけです。

 

この使い方はスパイクの考え方に近いように感じます。頑張ってピッチを高めているときに感じれるものは限られますよ。グッと踏み込みが安心できる、安定する、グリップがある、そんなような感触は前に進む上でとてもプラスだと言えます。

 

つまり、まず、どっちにしてもどちらも使うのはランナー、そして使いこなせるのは、トレーニングを重ねて、ランニングエコノミーを高めてきたランナーです。ランナーがシューズをコントロールしているわけで、シューズに全面的に走らされているわけではない、と言っていいでしょう。

 

ですから、ヴェイパーフライネクスト%を履いたからといって、パフォーマンスに差が出る、という指摘はナンセンス。まあ、ブランド契約の兼ね合いもあって、フェアでないという意味でしょうけど、訴えた選手は、”自分は彼より劣る”と言っているようなものです。そんなロジカルな知識があるのか、ないのか、そんな訴えを聞く、IAAFの調査もナンセンス。しかし、これはシューズの進化に欠かせないプロセス、かつてたくさんあったうちの一つです。

 

ロングディスタンスではナイキ「ヴェイパーフライネクスト%」が速く走れる要素が詰まっています。これは圧倒的にリードしています。現状、フルマラソンでは、これをわたしも使いたいし、使います。

 

ですけど、もう一つ言えることは、これだけを履いていることでトレーニング効果は増すとは思っていません。

 

インターバルのような瞬発的な動きのトレーニングやスピードチェンジが必要な距離であれば、薄底、レーシングフラットを使うことでトレーニング効果が高まり、また、コンディショニングには、次のトレーニングの準備を含めて、構造的にフォワードモーションの動作を高めてくれるようなデイリートレーナー(トレーニングシューズ)が不可欠なわけです。つまりこう言ったシューズチェンジ(履きわけ)がマストです。

 

ランニングとシューズという関係は、トレーニングで考えていただけるとわかりやすいですが、ランナーのトレーニング効果を高めるのは、変化でしかありません。トレーニングが変化、ランニングが変化しているのに、シューズを変化させなくなるのはとても理解できませんん。

 

しっかり接地感を高めて、その接地感を厚底に持ち込む、わたしは「薄底か、厚底」ではなくて、「薄底も、厚底も」と言っているようにそれらを使って、ランナーとしてのクオリティーを上げていくことがポイントだと思うですよね。これを機に市民ランナーもトレーニング効果を最小最大にするような考え方が根付くことを期待したいです。

 

結論として・・・

 

皆さんが期待する「速く走れるシューズ」は、「うまく使えるランナーが使えば、速くなる」が答えです。市民ランナーの我々もそれに取り組むことは、重要。そして、うまく使っていくには、履きわけて使っていくことも重要です。

 

それと、カーボンプレートについては、反発感より安定感での貢献が大きいことです。極限まで軽量にしたレーシングは、剛性の観点から機能性を補完するような目的で使用されていると考えるのが本当ではないでしょうか。

 

ですのでこちらも「カーボンプレート入りなら速く走れる」ではなく、「うまく使えるようにシューズの種類を組み合わせて使うと効果的、そして、結果速くなる」それが答えです。

 

履いたら速くなるなら、本当にドーピングです。また、ヴェイパーフライだけ履いていたら、フォームに迷うのも至極当然の話といことです。

 

 

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藤原商会代表:シューズアドバイザー 藤原岳久

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